共通農業政策について 2
最近では、82、83、87年にこうした形での輸出自主規制が行なわれました。
これによりアメリカの年間牛肉輸入量は国内消費量の7~8%という比率を安定的に維持することが可能となっています。
・・・これはきわめて巧妙な輸入制限の仕組みです。
食肉輸入法にもとつくトリガー水準の設定は明瞭にガット違反ですが、形式的にはこれにより輸入数量制限が行なわれているわけではなく、輸出国はこれをガイド・ラインとしつつ「自主的」に輸出数量を抑えているにすぎないからです。
こうした仕組みを可能にしているのが、これら輸出国に対するアメリカの圧倒的な政治・経済力であることはいうまでもありません。
制度をつくりながらそれを現実に発動することなく、いわば"おどし"として利用しつつそれと同じ効果をかちとっているのです。
・・・以上にみたように、農業についてのガット・ルールおよびその運用は多くの点で自由貿易原則から大きく逸脱しています。
農業について各種の例外措置が幅広く認められているばかりか、明白なガット違反とみられるような制度の運用もかなりの程度まで許容されてきたのです。
それは基本的には先にもみたような農業の特殊性にもとつくものですが、同時にこれら例外措置の具体的あり方ないしその運用の変化については、それぞれの時期における国際経済・政治の状況が強く影響している点も見逃せないですね。