共通農業政策について
アメリカがECの共通農業政策をガット違反として攻撃するのは、少なくとも経済学的にはなんらの正当性ももつものではないのです。
輸出自主規制工業製品の分野で輸出自主規制が現在狙獄をきわめていることは当然ですが、農産物の分野では輸出自主規制は必ずしもそれほど大きな比重を占めているわけではありません。
しかしそれでも、アメリカの食肉、ECの食肉・いも類、オーストラリアの食肉・りんご・なし、ニュージーランドの食肉・りんご・たこなど、農産物の輸出自主規制はかなりの国において行なわれています。
ガット事務局によると、なんらかの農産物について輸出自主規制を行なっている国は、加盟国の3分の1にたっするといいます。
・・・そこで、いまアメリカの牛肉を例にとって、その具体的内容をみてみましょう。
アメリカにおける牛肉の輸入数量制限は食肉輸入法(1964年制定、79年改正)に基づいてなされています。
食肉輸入法では1967~77年の年間平均輸入量を成長係数と逆周期係数とで修正したものを調整基本量とし32)、これに110%を乗じたものをトリガー水準としています。
これは事実上の輸入枠であり、輸入量がこれを越えると見込まれるときは、いつでも輸入割当を行ないうることとなっています。
ただし79年以降、実際に輸入割当が実施されたことは一度もありません。
輸入が増加しトリガー水準を突破しそうな場合には、主要輸出国であるオーストラリア、ニュージーランド、カナダの三国に対して自主規制を要請し、これら三国が輸出を自粛するのがならわしとなっているからです。